ブルースハープは「難しい」楽器か

ブルースハープ

ブルースハープ(テンホールズハーモニカ)は、「易しい」のか「難しい」のか・・・。
興味を持ち始めている方にとっては気になるポイントですね。

結論を言います。

ブルースハープは決して「易しい」楽器ではありません。
「成長」を感じながら「難しい」を楽しめる楽器 です。

「難しい」を楽しむにはコツがあります。
それは、1つひとつの技法を切り分けること、自分が必要と思う「技」について、なるべく毎日、5分・10分でもよいから基礎練習の時間をつくることです。

すると、ある時期に感じていた「難しい」という感覚がなくなっているのです。
そして、以前よりも表現豊かな演奏ができるようになっています。

その後、皮肉なもので次の「難しい」が登場します。これの繰り返しです。

「壁」を突破して「成長」が感じられる・・・、ブルースハープに限ったことではないですが、「難しさ」は「成長」のための肥やしのようなものです。

あと、「すべての技を覚える必要なし」と割り切る気持ちも大切です。好きな曲の演奏に際し、すべての技を必要としないからです。

「難しい」→「やってみたら出来た」という流れは必ず出てきますので、気楽に始めましょう。

それでは、ブルースハープを「難しい」と思わせる小悪魔たち(「成長」のための肥やし)を紹介します。(※詳しい解説は、各種教則本をご参照ください。おすすめの教則本は こちらのページ




小悪魔「ベンド」

ブルースハープといえば、「ベンド」と言ってもよいほど、演奏にかかせない技の一つです。
英語表記で「BEND」、「曲げる」等の意味から、ブルースハープでは、「音程を下げるテクニック」をいいます。

C調のテンホールズハーモニカなら、低音域に「ファ」「ラ」がないため、ドレミファソラシドすら、まともに音を出せません。
そこで、ベンドを使って2番穴を吸って「ファ」をつくり、3番穴を吸って「ラ」をつくります。

小悪魔「ベンド」と書きましたが、初心者にとってはひょっとしたら「大魔神」かもしれません。
ブルースハープを挫折する理由の多くが「ベンド」と言われているからです。

今なら、YouTubeなどでベンドを丁寧に解説した動画があるので、聴いて試しての繰り返しがよいと思います。
ある時、いきなりできるようになります。

言葉でつかむ、ブルースハープ「ベンド」のコツ

小悪魔「フェイク」

フェイクは、口の形や舌を動かして音程を変化させるテクニックです。
本来の音よりも低い音を出し、再びもとの音に戻します。

例えば、3番穴「吸音」フェイクなら、口の形を「ウ」から「オ」、「ウオー」と言うときのように変化させて吸ってみましょう。
③ → ↗③

小悪魔「ビブラート」

音を震わせるテクニックを「ビブラート」といいます。
実はこの技、奥が深いのです。次のとおり種類があります。

右手でパタパタ「ビブラート」
難易度★

右手の親指をハープに固定させて、他の指をパタパタと動かす
※ハンドビブラート

手首を使って「ビブラート」
難易度★★

右手の指をハープに固定した状態で、次は右手の手首を動かす
※ハンドビブラート

舌を使って「ビブラート」
難易度★★

ハーモニカをくわえた状態で音を鳴らしながら、口の中でレロレロレロと舌を前後に動かす
※タンギングビブラート

唇を使って「ビブラート」
難易度★★★

唇を閉じたり緩めたりしながら、小刻みにベンドを繰り返して音を震わせる
※ベンディングビブラート

のどを使って「ビブラート」
難易度★★★★★

(子どもが泣くとき)のどをヒクッヒクッさせる動きのように、「のど」を使って音を震わせる
※スロートビブラート
これが自在に出せるようになったら、ブルースハープ・マスターの一人に・・・

小悪魔「バンプ」

「(煙もくもく)汽車が走るイメージ」を連想しながら吹く奏法です。
和音(コード)を使って表現します。

※表記例
2 ・・・ 2番穴を吹く(ブロー)
② ・・・ 2番穴を吸う(ドロー)

汽笛(3・4番穴を同時に吸音フェイク)
↗④ ↗④
↗③ ↗③

汽車を走らせる
③ ③ 3 3 ② ② 3 3
② ② 2 2 ① ① 2 2 ※繰り返し

演奏例

汽笛でスタート

ゆっくり動き出す

だんだん速く

さらに速く

少しゆっくり

ゆっくり

汽笛で終わり




小悪魔「トリル」

トリルは、隣り合った2つの音を交互に連続して吹くテクニックです。
ハープを動かすやり方と、頭を左右に動かすやり方があります。

小悪魔「オーバーブロー」「オーバードロー」

音程を下げるベンドとは逆に「音程を1音半上げる」ため、「ベンドの親戚」と言われます。
ジャズを演奏したい方には、必須のテクニックです。

この技を習得すると、普通の音、ベンド音、オーバーブロー(ドロー)音を組み合わせることにより、すべての音階が出せるようになります。

小悪魔「タンブロック(タングブロック)」

4穴もしくは3穴を同時にくわえ、舌を左寄りに突き出し、右側の穴の音だけを出す奏法です。
上手にできると、リズミカルに聞こえてとても心地よい音色になります。

ベース奏法

単音を吹いてから舌をハープから離し、和音を出します。

オクターブ奏法

1オクターブ違う2つの音を同時に出します。

まとめ

どんなことも、深堀りすると「難しい!」の壁に直面するものです。
「難しい」という感覚は人ぞれぞれで、目標によっても異なります。

共通して言えることは、「まずはやってみる!」の行動が大切だということです。
ブルースハープこそ、「考えるよりも慣れよ」という言葉がぴったりなような気がします。