言葉でつかむ、ブルースハープ「ベンド」のコツ

ハーモニカ

10ホールズハーモニカでは、吸ったり吹いたりして空気の流れを変え、「半音~1音半」音程を下げる奏法を「ベンド」という。
※ベンドは「Bend」と表され、「曲げる」という意味

教則本で演奏テクニックを学ぶ際、ベンド関連の用語は知っておくと便利なので整理しておく。

 

ベンド用語の整理

吸って音程を下げる「ドローベンド」

「泥(ドロ)を吸って、オエっ〜」とイメージすると、「吸う=ドロー」が覚えやすい。

吹いて音程を下げる「ブローベンド」

ドライヤーを髪にあてることを「ブロー」というので、「吹く=ブロー」と覚えやすい。

 

まずは、2番・3番穴のドローベンド

人によって、ベンド習得のための最適なアプローチは異なる。

ベンドの基本となる、2番・3番穴のドローベンドのコツを挙げておく。

  • 「細いストローで、強く水を吸い込む」イメージ
  • ハーモニカに舌先(やや表側寄り)をつけ、そのまま舌の中ほどの部分を奥にむけて引っ込める
  • ハーモニカに舌先をつけたまま、舌全体を前に出し、すぐ引っ込める(イ・オ・ウと発音する要領)※声は出さない
  • 突然、「細いストロー」が現れたと思い、それを強く吸う要領
  • ハーモニカに舌をつけずに、口の中で舌を動かす

※2番穴のドローベンドで「ファ」、3番穴のドローベンドで「ラ」が出せるようになって、やっと、第1オクターブで「ドレミファソラシド」が完成。

 

つづいて、8番・9番のブローベンド

吹矢を射る要領で、かなり強く、リードを壊すくらいの気持ちで吹くと成功しやすい。

8番・9番穴のブローベンドのコツを挙げておく。

  • 口や頬を小さく、きつくすぼめる
  • 舌を軽くハーモニカにあてがう
  • 舌の真ん中あたりを動かす
  • 頬をふくらませないこと
  • ツバを吐く要領

 

音程を確認する方法

耳をたよりに音程を確認してもよいが、無料アプリ「楽器チューナー Lite by Piascore」を使うと便利。
※シンプルで使いやすい楽器チューナー

 

ベンドの親戚

「オーバードロー」「オーバーブロー」という、音程を変える奏法がある。

音程を下げるベンドとは逆に「音程を1音半上げる」ため、「ベンドの親戚」とされる。

 

音曲げ難易度(5段階評価)

「ベンド」「オーバードロー」「オーバーブロー」をまとめて「音曲げ」と称し、音曲げ難易度を示す。

個人的な見解・偏見、機種による差異があって難易度を示すのは困難だが、参考になれば幸い。

★の数・・・難しさを表す

[★☆☆☆☆] 4番半音ドローベンド
[★☆☆☆☆] 1番半音ドローベンド
[★☆☆☆☆] 2番全音ドローベンド
[★★☆☆☆] 2番半音ドローベンド
[★★☆☆☆] 3番全音ドローベンド
[★★☆☆☆] 3番1音半ドローベンド
[★★☆☆☆] 3番半音ドローベンド
[★★☆☆☆] 6番半音ドローベンド
[★★☆☆☆] 8番半音ブローベンド
[★★☆☆☆] 9番半音ブローベンド
[★★★☆☆] 4番オーバーブロー
[★★★☆☆] 5番オーバーブロー
[★★★★☆] 6番オーバーブロー
[★★★★☆] 10番全音ブローベンド
[★★★★☆] 10番半音ブローベンド
[★★★★☆] 1番オーバーブロー
[★★★★★] 7番オーバードロー
[★★★★★] 9番オーバードロー

 

ある時、突然できるようになる「ベンド」

練習初日からベンドができることを目指すよりも、気長に1日数分でもよいからトライする。

徐々にベンドのための口、舌の動きが仕上がってくる。

ある時、突然できるようになるのがベンド。

ベンドができるようになるまでは、ベンドを使わない曲を練習しながらモチベーションを維持するとよい。

 

「音曲げ」の終着駅

「ベンド」に「オーバードロー」「オーバーブロー」を合わせると、クロマチック音階(半音階)、すなわち全ての音階が出せるようになる。
※こんな小さな楽器から完全な3オクターブが〜!

その上、10ホールズハーモニカの音程の変化はアナログ的で、無段階な表現が可能!
※レバー操作でデジタル的にきちんと半音を出すクロマチック・ハーモニカと異なる点

アナログ的な音程の変化を生み出し、存分に楽しむ。ここに、10ホールズハーモニカの醍醐味が眠っている。

 

おすすめのブルースハープ教則本