ハーモニカの選び方/平均律と純正律

桜ハーモニカ

10ホールズハーモニカ(ブルースハープ)を選ぶ際、「何を買ったらよいのだろう?」とお悩みではありませんか。

デザインやメーカー、人気の機種など、ハーモニカを選ぶ基準は様々ですが、ここでは「調律」に注目してまとめます。

 

平均律へいきんりつ」と「純正律じゅんせいりつ

10ホールズハーモニカ(ブルースハープ)の調律は、「平均律」と「純正律」に大きく分けることができます。

それぞれの調律の特長と代表的な機種をご紹介します。購入の際、参考にされてください。

※「平均律」「純正律」の区分けは、各メーカーのWEBサイトを確認して行いました。

 

平均律

どんなポジション奏法でも使用でき、現在では一般的な調律。

ドレミファソラシドを奏でると、それぞれの音がズレない(チューナーの真ん中に針が止まる)。

メロディー演奏では違和感がないが、和音では「濁り」のあるサウンドとなって綺麗に響かない。

 

初心者からプロまで、安心して使える品質

TOMBO トンボ 10ホールズハーモニカ C調 メジャーボーイ 1710

丸くとても温かい音色、木製ボディのサウンドを再現

SUZUKI スズキ 10穴ハーモニカ OLIVE C-20 C調

おしゃれな外見、軽やかで明るく音色

HOHNER GOLDEN MELODY/C ゴールデンメロディ 10ホールハーモニカ

 

純正律

濁りのない、美しい和音の響きが実現する調律。

昔の10ホールズハーモニカには純正律が用いられていた(現代でも伝統的なブルース奏者は純正律モデルを使用することが多い)。

ドレミファソラシドを奏でると、それぞれの音が微妙にズレていて、これが綺麗な和音になる仕掛け。

しかし、メロディーを奏でた時は、このズレがわずかに違和感を感じさせる。

綺麗で繊細な曲を演奏するとズレがわかりやすい。

 

スズキの最高級ハーモニカ、濁りの無い澄んだ和音の響き

SUZUKI スズキ 10穴ハーモニカ ファビュラスシリーズ F-20J C

 

まとめ

コンプロマイズド・チューニング(compromised tuning)という言葉をご存知でしょうか。

平均律の均等な音の間隔を保ちつつ、純正律のコードの響きもできるだけ表現できるようにするチューニングのことです。

メーカーやモデルによってその設定は様々で、例えばHOHNER(ドイツ:ホーナー社)の「Marine Band(マリンバンド)」は純正律寄り、「Crossover(クロスオーバー)」は平均律寄りのコンプロマイズド・チューニングと言われています。

そもそも昔はどうだったのか。

ハーモニカの代表機種「Marine Band」は、1980年代まで純正律チューニングでした。

つまり、戦前・戦後のブルース分野において、数々の奏法を開拓してきた奏者は、「純正律のハーモニカで和音を巧みに使いこなしてきた」と想像できるのです。

「Marine Band」の現在のチューニングは「純正律寄り」という情報から、代表機種ながらあえて紹介しませんでした。

しかし、純正律の「Marine Band」があったからこそ、ブルースハーモニカの奏法が発展してきたと想像できるので、せめて文末でも紹介したい・・・という気持ちになりました。

それにしても、ハーモニカの歴史研究もまた楽しいものです。