ハーモニカの魅力と”ふと”行動

「なぜ、山にのぼるのか。そこに、山があるからだ」
イギリスの伝説的登山家、ジョージ・マロリーが口にしたという、余りにも有名な言葉だ。
「ハーモニカ」で言葉遊びをしてみるなら、「なぜ、ハーモニカを吹くのか。そこに、ハーモニカがあるからだ」となる。
深い理屈なく「ただ楽しみたい」、ひょっとしたら「楽しみたい」という気持ちすらなくて、勝手に体が動いている状況と言えるかもしれない。
最近、「ふと、なにかをやってみよう」という、自然に湧き上がる意思やエネルギーはとても尊いものだと思うようになった。
新型コロナウイルスの影響で自分の心と向き合う時間が増えたからかもしれない。
新型コロナといえば外出自粛だが、運動目的の外出はOKという認識で”ふと”朝ウォーキングを始めた。
山が近いので「楽しむなら山道だろう」と、マイナスイオンを浴びながらの往復1時間の旅だ。
途中、野鳥の鳴き声が歩みを止め、まるでコンサート会場のような場をつくる。
道の途中で見かける、人家を彩る花壇もまた素晴らしい。
家主が”ふと”やってみようと思って、花を植え始めたに違いない。
ウォーキングの目的地点に到着した。山の中につくられた「堤(つつみ)」だ。
水があふれないように、岸に沿って土が高く盛り上げられている。美しい自然に囲まれた場所。

「なぜ、ハーモニカを吹くのか。そこに、ハーモニカがあるからだ」
ウォーキングでハーモニカを持ち運べば、そりゃ”ふと”吹いてみたくなるものだ。
誰もいない山奥だから、演奏をミスしても気にすることはない。
心置きなく、野鳥とともに音を楽しめるのも、手軽なハーモニカの魅力の一つだ。
新型コロナウイルスは日常生活を一変させ、新しい生活様式を求めるほどの影響力をもった。
これまでが傾向と対策、数値分析・計画など、理屈の上に歩んできた生活だとすれば、コロナを機に”ふと○○”という、自然に生まれる意思とエネルギーを大切にする機会にしてはどうだろうか。
「なぜ、ハーモニカを吹くのか。そこに、ハーモニカがあるからだ」
今日も、自問自答することなく、自然に”ふと”行動してみようと思う。